ファイターズの主力選手流出の影響について

【はじめに】

今回の記事では昨年の5位という成績から巻き返しを図るファイターズが選手構成を大きく変えて臨むシーズンに向けて「本当に主力選手の流出が大きな影響をもたらすのか」ということについての考察をする。(2017年シーズン中に移籍した谷元投手については今回割愛する)

 

【選手の流出】

残念ではあるが、2017年オフにファイターズは大谷選手,増井,マーティン両投手の流出の憂き目に遭った。大谷選手の活躍は言うまでもないが、抜群の安定感を誇るセットアッパーマーティンや100H100Sを達成した増井投手の同リーグへの移籍というのは何とも言い難いものがある。

【各選手の成績(2017年)】

.野手大谷:231打席 202打数 67安打 8本塁打 .332

.投手大谷:5試合 3勝2敗 1完封 25.1回 ERA3.20

.増井:52試合 6勝1敗27S7H ERA2.39

.マーティン:40試合 2敗1S29H ERA1.19

 

【各選手の成績(2016年)】

.野手大谷:382打席 323打数 104安打 22本塁打 .322

.投手大谷:21試合 10勝4敗 1完封 140回 ERA1.86

.増井:30試合 10勝3敗10S1H 1完封 ERA2.44

.マーティン:52試合 2勝21S19H ERA1.07

 

【この2年でどのような変化があったか】

.まず2017年度の野手大谷に関して言えば、2016年だと比べて100打席以上を怪我の影響で減らし打率は高かったものの年間通しての活躍ができなかった。参考までにリードオフマン西川遥輝選手は2017年、623打席で541打数160安打を記録しているので野手専任の選手としては単純に400打席ほど打席が少なかった計算になる。つまりチームへの貢献度に関してだけ言えば2017年度は然程高くないと言える。(WARへの言及はまた後ほど)

.投手大谷も25回しか投げておらず、ホーム最終戦で完封を見せたもののそれを除けばチームへの貢献は無に等しい。実際、2017年度のファイターズは先発投手のQS率がダントツで低く完投能力のある先発投手がいないことが露呈した。つまり、投手大谷の退団は2017年→2018年への影響としては極々些細であるといえる。

 

.増井投手に関して言えば優勝した2016年ですら不振により抑え投手の座をマーティンに奪われる形で先発投手としての調整をこなし、1ヶ月後にまさかのエースとして復活。1完封を含む2完投もこなし逆転優勝の原動力となった選手だ。2017年も彼が先発投手でいてくれれば2桁勝利の目算も立っていただろうに、リリーフへの拘りからエースの座を拒否する珍しい事態に。ただ抑え投手としての能力は前年と相違なく、リーグワーストのセーブ成功率8割を記録するなどチームのニーズと本人の希望がすれ違った中での退団となった。

タラレバの話ではあるが2016年に先発投手としても抑え投手としても結果が出せなかった現巨人吉川光夫投手の処遇を見ても、2016年に先発投手として増井投手が復活できていなければ増井投手もトレードの駒になっていた可能性は高かったのではないだろうか。増井投手の退団による影響については後ほど追記。

 

.マーティン投手は1年目のシーズン後半に怪我離脱、2年目の後半は若手育成に舵を切ったが故の登板数の少なさであるがERAを見ても実際の試合でも安定感は抜群であった。正直2017年が開幕した当初に何故クローザーとして彼が立っていなかったのか今でも不明である。増井投手の方の契約に起用法縛りがあったのかな。今回の流出による中継ぎ陣の計算の出来なさについては、このマーティン投手のクローザー案が崩れたことが最大の理由である。

 

【現状の中継ぎ投手】

優勝した年とはうってかわって谷元投手を始め上記の主力投手が流出したファイターズ。しかし彼らの穴を埋めようとアピールを続ける者も多い。例えば抑えの座を期待されているだろうトンキン投手や紅白戦からオープン戦4戦目までに好投を続けるルーキー西村投手は終盤の起用が考えられるし、中継ぎ日本人右腕として(チーム内で)高年齢に達した鍵谷投手も重要な局面での登板を任されそう。彼らをはじめとした選手がどのような数字を残せば中継ぎ投手がまた強固になるのだろうか。

【パターン例から見て取る中継ぎ陣の充実:2015年 福岡ソフトバンクホークス(90勝49敗 優勝)】

2017年度のものを参考にしようとすると、クローザー(例えばトンキン)が日本記録級の成績を残すことが求められる。これは参考にならないので、2015年にこれまたぶっちぎりで優勝した時の中継ぎ陣の数字を参考にしたい。

.サファテ:65登板 5勝1敗41S9H ERA1.11

.五十嵐:54登板 3勝1敗2S31H ERA1.38

.森:55登板 5勝2敗16H ERA2.69

.二保:44登板 6勝1敗5H ERA3.25

 

これが90勝チームが誇る中継ぎ陣である。2017年とはまた陣容が変わるが本気で優勝を狙う場合、強力中継ぎ陣としてチームを支えていくにはこの数字を参考に選手を見立てる必要があるのではないか。

 

【ここ10年くらいのファイターズの勝ち方】

ヒルマン監督が浸透させたとされるスモールベースボールの流れを受け、かつてはマイケル,武田久,岡島,建山といった選手に始まり、増井,宮西投手のようなタイトルホルダーを擁してきたファイターズ。故に50試合登板に到達する主力投手が4名を超えることも珍しくなく、上にあげた(2位,79勝62敗,ゲーム差12.0)2015年は谷元投手の61試合を皮切りに増井,石井裕也,宮西,白村の5名が50試合以上の登板を重ねた。ちなみにこの年は増井投手が39S,ERA1.50でまるで優勝チームのクローザーのような立派な数字を残した。2位だけど。90勝を挙げたチームに50試合登板選手が3名しかいないチームと比べて、よりこまめな継投をするチームであるのではないだろうか。以下のデータも参考にしたい。

2014年(3位,73勝68敗,ゲーム差6.5)は50試合以上に登板した投手は4名。48試合に登板したカーターという選手もいた。

では、2017年はどうか。50試合以上登板したのは3名で、新加入の若手左腕公文投手が41試合に登板。40試合に登板したマーティンは退団するものの石川直也投手も先発込みで37試合に登板した。つまり現状、50試合以上に登板することが見込まれる2017年にも在籍していた投手は鍵谷,宮西,公文,石川直也投手の4名である。ここに勝ちパターンに組み込まれそうな西村,トンキン投手が加わるし、19試合の登板ながら今年の春のキャンプで既に153km/hを記録した田中豊樹投手も加わってくる。なんだ、思ったより未来は明るいじゃないか。

 

私見

ここまでのデータを乱暴にまとめると、50試合以上に登板する選手が多ければ多いほど強いチームになることはなんとなく理解できたと思う。5〜6名が50試合に登板することになる状況はそもそも敗戦処理投手を生みにくいし、僅差での1勝をものにできるチームなら当然中継ぎエースの登板数は増えるだろう。よって、開幕前のこの時期に中継ぎの目処が立たないなどと泣き言を言ったり某アイドルの最下位予想を見てナーバスになる必要はないのである。中継ぎ陣はいけるんじゃないかなあ。

 

【野手大谷の穴を埋めるのは誰だ】

昨年のあまりの打てなさを鑑みても、どう考えたって打者大谷の穴は大きいのである。盗塁王西川選手や4割打者近藤選手が期待通りに首位打者を獲得してもその後ろの打者が得点圏で打点を稼がないとまず話にならない。昨年はフリースインガー打線を構築したがために堀投手の初先発でプロ野球タイ記録の19残塁完封負けという失態を晒した。覚醒覚醒言われていた大田選手や、どうにかしなければならない中田選手,何だかんだ率は低いレアード選手が得点圏打率を上げることはチームの勝利に必須の条件となる。

去年の主力以外のメンバーはどうか。

新外国人のアルシアは来日が遅れた。ビザが取れなかったというが、本人の腹回りを見たファン達は「そら打てんわな」と口をそろえる。ツイッターでの話なので嘴を揃えたわけだ。

ここまでオープン戦で2本塁打を放っている森山選手は昨年はファームで本塁打王のタイトルを獲得した。長打率もトップクラスの数字を叩き出し、野球評論家の小関さんがブレイク寸前のラインとする数字も残した。その一方で打率はファームで.234。首位打者が.295(ファイターズの高濱)であることを考えても良くはなく、いきなり野手大谷の穴を一人で埋めるのは現実的ではない。

私見

2016年の野手大谷の穴を考えれば2018年にすぐ埋まるものではないというのは予想内の範囲であった。ただ2016年に優勝した年でさえ中田選手やレアード選手の打率,得点圏打率は低かったし、彼らを中心としたクリーンナップの打撃成績の向上がチーム浮上のカギを握りそう。少なくとも.216 16 67 の成績では本当に居場所が無くなるのでもう一花咲かせて欲しいところである。

【まとめ】

開幕前の前評判を語る際には主力選手流出の影響は考えるべきかもしれないが、期待される若手選手やまだ伸び代のある主力選手が多いのもこのチームの特色だと思う。彼らが奮闘を見せることで前評判を覆すチーム成績を見られる秋が来るのではないだろうか。我々ファンは大人しくオープン戦や教育リーグの試合を観戦するのがいい。開幕前に主力選手の怪我やトレード以外のことを理由にネガティブになってはいけないし、開幕後の懸命な応援をしに行くための準備をするべきだ。新応援歌はもう公表されていますよ。

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